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ラストシーンの秘密 3
 前回のロングショットの名シーンは『幸せの黄色いハンカチ』です。

寅.png 監督は日本が世界に誇る山田洋次先生。

 山田監督は「幸せの黄色いハンカチ」撮影中に、とあるストーリーを思いつきました。
 それは黄色いハンカチのプロローグと言ってもよいような話なのです。

 主人公・田島耕作(高倉健さん)は小さな牧場を営む風見民子(倍賞千恵子さん)のもとをふらりと訪れ、、、
 「雇ってください。何でもします」
 彼女は夫に先立たれ、息子・武志(なんと小学生の吉岡秀隆さん)と二人だけで牧場を運営していました。人手は欲しいけど、たくさん給料は払えないし、、、と悩みつつ大きな警戒心を抱いたまま受け入れまたのです。

 ある日、民子に好意を寄せる虻田太郎(ハナ肇さん)が現れ、民子に乱暴しかけました。それを目撃した田島は、すかさず追い返しました。ところが虻田太郎は兄弟を引き連れ仕返しにやって来たのです。そして草原で虻田3兄弟と決闘と相成ります。

 耕作はとても強く、簡単に三人を返り討ちにしてしまう。
 それを目の当たりにした武志は耕作に男としてのあこがれを抱き始め、虻田三兄弟は「兄貴・兄貴」と慕い始めました。

 そのあと民子が腰痛で入院する羽目に陥り、武志は耕作と二人で生活することになりました。するとすっかりなついてしまい、それを見た民子も好意を抱き始めたころ・・・

 牧場周辺を警察が嗅ぎまわるようになります。
 それに気が付いた耕作は告白します。
 「借金苦から自殺した妻を、葬式の席で罵った高利貸を殺してしまった」
 警察から逃げていたのです。

 やがて警察がやってきます。
 パトカーで連れ去られる耕作。
 「おじちゃん、どこ行くの」と追いかける武志・・・

 これがエンディングでした。
 これで十分面白い!!!
 しかし、山田監督は納得しません。
 付け足されたエンディングが、、、これ、、、



 この時のハナ肇さん、最高ですね。喜劇役者に「泣かせ」やらしたらめっちゃうまいと言われる典型例です。

 これが僕のベスト1ラストシーンです。
 獣医大学に在学中、素敵な物語も作ってみたいと思った僕は、月刊シナリオなども読んでいました。そして見つけた「遥かなる山の呼び声」のシナリオ。
 ・・・エンディングを読み終えた僕は、山田洋次監督のすばらしさに、、、
 「僕には無理、すなおに獣医師になろう、それすら危ういのに・・・」と思ったのでした。

 『遥かなる山の呼び声』1980年公開、観たほうが人生が豊かになりますよ!

 PS:最後に渡されたハンカチ、うっすら黄色いんです。
  • (2020-09-07 11:48:30)
ロングショットの秘密 3
 ずっと動物病院なのに映画の話ですいませんなどと前置きしてましたが、開き直ってしまい「何が悪いねん!」状態で映画話を続けています。

 2つ前の「名シーンの秘密」からロングショットの話になり、『ROCKY』でロッキーとミッキーが和解するシーンが最高であると断言しました。

 しかしそれは洋画の場合でして、じつは邦画にも素晴らしいロングショットはあるのです。

黄色いハンカチ.png 奇しくも『ロッキー』と同じ年(1977年)公開。
 (ロッキーのアメリカ公開は76年ですが日本は77年です)

 主演は、あの高倉健さん。あの倍賞千恵子さんとの共演です。
 古い映画ばかり登場させますが、このお二人が出ている映画は見逃せません。「はずれなし」と断言します。

 主人公の島勇作は妻・光江が流産したことでイラつき、チンピラと喧嘩になり殺してしまう。
 刑期6年を務め網走刑務所を出所した勇作は、夕張の自宅にヒッチハイクで向かうのですが、、、

 勇作は刑期中に離婚届を光江に渡していましたが、まだ待っていてくれたなら庭の物干しに黄色いハンカチをかけておいてくれとハガキを出していたのです。



 ロングショットの魔力を感じていただけました?
  • (2020-09-05 10:47:59)
ロングショットの秘密 2
 前回記載したロッキーとミッキーの和解シーンについてですが、、、

 チャンピオン・アポロとタイトルマッチをすることになったロッキー。
 彼のボロアパートを訪れるミッキーが訪れる。

 「マネジャーをやらせてくれ」と頼むのです。
 しかし、ロッカーまで若手選手に明け渡されたロッキーはトイレに閉じこもり拒否します。ミッキーは必至で自分の若いころの話をして説得を試みます。
 「俺はマネージャーがいなかったから苦労の連続だった」

 でもロッキーは出てきません。
 「マネジャーをやらせてくれ、お前を助ける」
 ロッキーは「十年前に助けてほしかった!」とつぶやきます。

 あきらめてアパートを去るミッキー。
 70過ぎてから、まとまったお金を得るチャンスだったけど、、、

 愚痴を叫び続けるロッキー、、、
 ミッキーが「しかたない」と後悔しつつ去っていきます。
 すると・・・かなりアパートから離れたところで、アパートのドアが開きロッキーが駆け寄ります。

 前回の動画をご覧ください。
 これこそがロングショットです。
 僕に言わせると、No1名シーンなのです。

 さて、、、
 ロングショットとは? (ウィキペディアで調べますと)

 映画において被写体とカメラの距離が非常に遠いショット。
 被写体の全体が見えたり、被写体が周辺環境で小規模に見えるようなショット。
 ・・・だそうでして・・・

 この名シーンでは、ミッキーと肩を組むロッキーが遠くから撮影され、彼らの会話も表情もまったくわかりません。

 でも、名シーンなのです。
 誰が何といっても、名シーンなんです。

 多分、観客一人一人に、ロッキーのはにかんだ微笑みと、ミッキーの驚いて泣きそうになりながらの肯きが見えるからだと思うのです。
 「たのむよ」「まかせろ」まで聞こえるのです。

トレーナー.png これこそがロングショットの魔力です。

 PS:2011-02-20「ロングショットの秘密」ご参考までに・・・
  • (2020-09-05 00:56:03)
名シーンの秘密
 コロナ対策で日本政府の対応が、ブレーキとアクセルの同時踏み見たいで不満が募り、こうなったら犬や猫の話じゃあなく、大好きな映画の話ばかり書いてやると2020-08-19「コーヒーとおじぎの秘密」から続いております。

 そしたら安倍首相が辞任してしまい、またもやお家芸の派閥力学による決定で「国民どころか党員の希望も聞けへんのかいな?」とあきれてしまったので、まだまだ映画の話を続けていくつもりです。

 今回から『名シーン』シリーズです。
 記念すべき(?)第一回は、古くて申し訳ございませんが『ROCKY』です。
 日本公開1977年春、僕は19歳でした。
 3つ前の「CGの秘密」に記載しましたが、初日に見たので映画好きばかりだったからか、エンディングの試合では、映画館内に観客の「ロッキー!」という声援が響き渡ったのです。

 生の試合ではなく、結末の決まった映画にですよ!
 どれだけこの映画が当時の若者に突き刺さったか!
 そして、グレイのパーカー着て、淀川の堤防を走り始めたやつは僕を含めて星の数ほどいたと思います。(当然、生卵を飲んでから)



 僕が選んだ名シーン「No1」は予告編には出てきません。
 ロッキーのトレーナーであるミッキーは彼の素質を買っていました。ところが彼のロッカーを素質のある若者用にしてしまったのです。
 「なんで俺のロッカーないねん」と怒るロッキー。
 しかしミッキーは無視します。
 「長いこと俺専用やったのに! なんでやねん!」
 ・・・・・・
 「ええ素質あったのに、高利貸の取り立て屋なんかして、ボクシングに専念せんからや!」
 ロッキーは少し沈黙したのち「生きるため」とつぶやくのでした。

 このけんかの後でした。
 チャンピオンの気まぐれで挑戦者に選ばれたロッキー。
 ものすごい金額のファイトマネーが手に入るチャンスです。

 そこへやってくるミッキー・・・



 名シーンはロッキーがアパートから出てくる2:50からです。
 これが僕のNo1です。(英語がわからんでも)
  • (2020-09-03 18:03:58)
戦争責任の秘密
 3つ前の「キンダガートンコップの秘密」から大ファンの山崎貴監督の映画について記載しているわけですが、、、

 先生の作品を見て、僕ごときが恐れ多くもえらそうに「わが意を得たり!」などと思っていることがあります。
 じつは「戦争責任」についてです。

 小さい時からずっと第二次世界大戦は陸軍の暴走によって起こされ、日本国民が大きな被害を受けたと教わってきました。しかし、成長を伴っているかどうかは別として、外見上は高齢者になった今、それは極めて正しい事実なのですが、国民一人一人の「責任」も追及しないといけないのではないかと思うようになりました。でないと、本当の戦争抑止はできないのではないかと・・・

 とにもかくにも日本という国は、個人の責任をあいまいにしてきたように思うのです。
 『責任』は・・・
 「いじめ」なら教育委員会。
 「虐待」なら児童相談所。
 (2020-02-26「農耕民族の秘密」を見てください。悪いのは天候であって、個人の責任は追及しない世界が出来上がっているのではないかと・・・)

 「黙ってみていた個人」が自己嫌悪で落ち込まないよう工夫されているように思えてなりません。
 自慢じゃないけど、僕も黙ってみている方側に属する小心者です。勇気を出してしゃしゃり出るはずはありません。
 だからこそ、ある程度のストレスは感じるべきで、自己嫌悪にさいなまされないといけないのです。
 いじめを見ていた同級生。虐待される泣き声を聞いていた近所の方。そして、本心は行きたくないのに戦争に駆り出された日本国民。
 確かに一個人でできることには限界があります。
 しかし何もしなかったことを少しは後悔しないと、、、
 「抑止力」は生まれてこないのではないかと、、、
 (2019-09-20「特高警察の秘密」・ 2019-09-23「ヤミ米の秘密」に勇気をもって国に対して自分の信念を貫いた方を記載しています。僕にはできませんが、尊敬はしています)

 責任は、上の方の大きくてあいまいなもののせいにして僕たちは守られてきました。つまり赤ん坊のように大切に扱われていたのです。
 安倍さんの後の自民党総裁を決めるのにも、党員すら参加できないわけは、赤ん坊だからです。



 僕に言わせると画期的な戦争映画です。
 はじめて国民一人一人の戦争責任を追及した映画だと思います。
  • (2020-09-01 15:26:12)
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