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日章丸の秘密
 あけましておめでとうございます。
 2017年が皆さまと相棒である犬や猫にとって楽しく、わくわくする一年でありますようにお祈りさせていただきます。

 さて、2016-12-26「海賊と呼ばれた男」以来続いた映画の話も9回目となりました。
 原作である東淀川区出身の百田尚樹先生の小説も、ほとんどが実話であるようで、日章丸の話も出光社史に掲載されています。

パンフ.jpg 日章丸は映画のパンフにも描かれてます。
 1949年(昭和24年)配給公団の解散に合わせて出光は石油元売り業者の認定を受けました。ところが出光以外の13社は石油メジャーと提携しました。つまり外国資本が参入したのです。当然出光には石油が回ってきません。

 出光佐三さんは運輸省を訪れお願いしたのです。
 「出光は今13対1の戦いをしている。日本民族のため、私に戦う武器をいただけませんか」

出向.JPG 出光はタンカーと言う武器を持ちました。

 アメリカからハイオクガソリンを満載して帰ってきた日章丸(二代目)は当時世界最大でした。高品質で安いハイオクガソリン「アポロ」は大人気。石油メジャーも値下げせざるえなくなります。

 しかし、ますます石油メジャーの妨害は激しくなります。
 買い付ける油田がなくなってきました。
 ここで出光佐三さんは、驚く決断をするのです。

 「イランから買おう!」

 この頃のイランは、油田と言うお金の成る木を持っているにもかかわらず、国民は貧困に悩んでおりました。イギリスの石油メジャーに油田を牛耳られていたからです。

 イラン政府は「油田を国有化します」と宣言します。
 そりゃ~イギリスは怒りますわな、、、

 中東に軍艦を派遣し、石油買付に来たタンカーは沈めてしまいまっせ~!と国際社会に表明します。これはアーバーダーン危機と呼ばれ、いつ戦争になってもしゃ~ない時期でした。

 ついさっき戦争に負けたばっかりの日本の企業が、、、うち買うわ!
 なんちゅうことすんねん出光さん!
 そりゃ~小説にも映画にもなるで・・・

PS:新年早々映画の話が続いて申し訳ございません。でもこれはタグを『歴史』にしたように僕らが知っておいた方が良い史実だと思うので、、、てなわけでまだ続きます。(僕も全く知りませんでした)
  • (2017-01-01 01:38:53)
タンクの底油の秘密
 前回、終戦後GHQからの要請で出光商会(国岡商店)はラジオ修理に取り組んだことを記載しました。
 じつは、もう一つ持ち込まれた仕事があったのです。

 石油で始まり石油で終わった太平洋戦争。
 そのころの日本はひっくり返して叩いても石油は出てきません。
 しかし、、、

 GHQは全国の石油タンクの底ざらえをせえと言ってきました。
 同業他社から嫌われていた国岡店主は全く石油関連の仕事につけません。
 「石油の仕事には違いないわい」と飛びつきました。

映画.JPG 油で真っ黒になって働く社員たち。

 国岡店主(岡田准一さん)がねぎらいます。

ホンマ.JPG これほんまもんの出光商会の社員たち。

 有毒ガスで死ぬかもしれず、人夫さんたちも敬遠しました。
 社員だけでやり遂げたのです。

 映画では、、、ねぎらう店主に社員さんたちが、、、
 「わしら南方戦線に行っておりました。あそこに比べりゃあ~」
 「飯も食えますし、酒も飲めるしなあ~」
 「ええ、ええ(うなづきながら)」と描かれております。

 ここは泣かせます!
 子供、犬、病気などを使えば、まあ泣かせは簡単なんです。
 (二十才のお酒が典型例・2016-11-07「二十才のお酒の秘密5」参照 )
 しかし、恋愛も死も使わず、仕事で泣かせるなんて、なんてすごい映画なんだ。
 (映画「県庁の星」以来ですわ)

 現実では、、、出光にお金で買うことができない資産をもたらしたそうです。
 戦後の困難克服の象徴として、一致団結をもたらしたのです。
 合言葉は・・・
 「タンク底に帰れ!」です。
 おそらく、映画同様に「あれに比べりゃあ~」と言っていたのでしょう。

 そして、困難を乗り越えた出光商会は国際メジャー相手にケンカを売ることになります。
 タンカー日章丸の登場です。

 それは、新年に・・・
 つたないブログをお読みいただいて有難うございます。来年もよろしくお願いします。

PS:『二十才のお酒』鑑賞会1/15(日)AM10:00~11:00 受付まで・・・
 2016-12-21「東淀川高校の秘密3」読んでみて
  • (2016-12-31 14:55:05)
戦後の秘密
 映画『海賊と呼ばれた男』を見てから、、、
出光.jpg 買ってしまった。別冊宝島

 出光佐三さんも国岡鐵造さんも、、、
 (ようするに現実の出光興産創業者も小説も映画も)
 1945年8月17日「馘首(かくしゅ)せず!」と言いました。

 終戦直後に「誰一人クビにはせん!」と言っても現実「ど~すんねん!」と思いますわ。

 実際、出光商会はやれることは何でもやったそうです。
 農場経営、定置網漁、印刷、そしてラジオ修理・・・

 さて、映画(小説)では元海軍大佐・藤本壮平が店主のもとへGHQ要請の仕事を持ち込みます。

 まずGHQとは?
GHQ.JPG 連合国軍最高司令官総司令部のこと。

 連合国軍最高司令部、連合国最高司令官総司令部とも言いました。
 太平洋戦争終結に伴うポツダム宣言を執行するため、日本で占領政策を実施した連合国軍機関である。職員はアメリカ合衆国軍人とアメリカの民間人が多数で、他にイギリス軍人やオーストラリア軍人らで構成されていたそうです。
 東京駅・丸の内にあった第一生命ビルが接収されたそうで、今も残っています。
 映画ではCGでうまく再現されています。(さすが山崎監督)

 で、どんな仕事かって言うと、ラジオの修理です。
 まだテレビはなく、ラジオが通信手段として重要であり、GHQが打ち出す政策(農地改革・財閥解体など)を広く世間に知らせるためだったのです。

 映画では店主が藤本の身なりを確かめ、ボロボロの革靴を見て、、、
 「うちの会社に入って君がラジオ部の部長になれ」と言います。

 実在の人物でして、海軍兵学校出身と言えばエリート中のエリートでして、それが部下たちのために持ち込んだ仕事だったからです。

ピエール.JPG ピエール瀧さんが演じています。

 『三丁目の夕日』の氷屋さんでファンになりました。
 『続三丁目の夕日』では冷蔵庫の普及で出番がなくなり、アイスキャンデー屋さんに転身。
 『三丁目の夕日64』ではコカ・コーラの自動販売機が心配で見張っている店主になっておりました。「自販機の意味ねえじゃん!」

 氷屋さんが毎日自転車で氷を売りに来て、それを冷蔵庫ではなく保冷庫の一番上にいれて食品保管をする時代を知っている最後の世代である僕は、この映画が大好きなのです。
  • (2016-12-31 09:23:10)
終戦の秘密
 前回記載させていただきましたように、石油がほしいがために戦争を始めた日本は、石油が亡くなってしまい戦争に負けました。
 『海賊と呼ばれた男』東京大空襲でやって来たアメリカの爆撃機・B29に対して飛行場から飛び立つ夜間戦闘機・月光が描かれています。
 
 飛行兵「なんで飛び立たないんだ!」
 整備兵「石油がないから飛び立てません!」

終戦.png ハリウッド映画に学ぶのも悲しいけど・・・
 (2013-08-01「マッカーサーの秘密」を読んでほしい)


 1945年(昭和20年)日本では『終戦』と言いますが、現実は『敗戦』です。
 出光佐三さんの日記には・・・
 
 「十五日正午、玉音(おんぎょく)を拝す」
 「ようやく終戦の事実を知る。涙も出ず、ただ茫然たり」

 二日後の十七日、奇跡的に残った銀座の出光本社に社員を集めて訓示を行いました。

 「泣き言をいわずに大国民としての態度を失わず、堂々と日本国の再建設に進まなければならない」というものだったそうです。

 小説では国岡商店本社ビル(国岡館)において、店主が、、、

うえ.JPG 「今から皆のものに申し渡す」

 「愚痴はやめよ!」
 「愚痴は泣きごとである。亡国の声である。婦女子の言であり、断じて男子のとらざるところである」
 (近年では男子の方が愚痴ったりしますけど・・・)

 「日本には三千年の歴史がある。戦争に負けたからといって、大国民の誇りを失ってはならない。全てを失おうとも、日本人がいるかぎり、この国は必ずや再び立ち上がる」
 「直ちに建設にかかれ」
 「昨日まで日本人は戦う国民であったが、今日からは平和を愛する国民になる。しかし、これが日本の真の姿である。これこそ大国民の襟度である。日本は必ずや再び立ち上がる。世界は再び驚嘆するであろう」
 (これも結構盛りまくった演出と言えますが、現在あたってる所がすげえ~)

 ここからがすごいのです。映画も小説も、はたまた現実の出光佐三さんも・・・

 『馘首(かくしゅ)せず!』

 つまり、誰一人リストラしない!と宣言するのです。
 これは当時の日本の状況では考えられんことやと思います。
 小さな小さな、有限会社の社長としては感服せざるを得ない人物です。
  • (2016-12-30 15:35:53)
石油の秘密
 出光(海賊と呼ばれた男)の話が続いておりますが、、、(まだまだ続く)
 映画のパンフレットに載っていた中嶋猪久生(中東経済/石油史)先生が書かれた石油の歴史です。

 石油産業は1859年アメリカで始まったらしいのですが、、、
 そないに日本も後れを取っていたわけではございません。
 明治初年(1868年)には始まっておりました。
 (ほんまこの頃の日本ってすごいですよね、まだちょんまげやと思うし)

 明治7年にはアメリカの地質学者を招聘して、日本列島をくまなく調査。
 「ある程度期待が持てまっせ!」と言われ、ぎょーさん石油のベンチャーが生まれました。

 生産量の第一ピーク、明治42年には29.9万キロリットルの産出量で、中東の油田開発がまだだったので世界第8位だったのです。
 しかし、、、
 「いつまでもあると思うな、石油とプリンターインク」という格言通り、石油産出量は減っていきます。反対に石油消費量はドンドン増えるのです。(あたりまえ!)

 必死で国内油田開発に力を入れますが、、、
 第2ピーク、大正4年の47.2万キロリットルが限界でした。
 
 「もうあかん、外国に行くしかあらへん!」

 当時オランダ領だったインドシナ(現インドネシア)に目を付けます。
 ところがこの辺、石油利権はイギリスさんの縄張りでした。
 何とか食い込もうとする日本。

 昭和の初期、日本経済は発展しまくり、アメリカ経済を脅かすまでに成長していたそうです。
 「くそなまいきなやっちゃー」と経済制裁が発令されまして、アメリカの石油が輸入できなくなったのです。

 ちょうど今安倍さんが行っている真珠湾ばかりが注目されますが、、、
 ほぼ同じころ日本軍はボルネオやスマトラの油田を攻撃して占領しているのです。

空母.jpg 石油を手に入れるために戦争に走り、
永遠の0.jpg 石油がないために戦争に負けてしまう。

 国と国も僕らがやっている喧嘩と変わりません。
 エゴとエゴのぶつかり合いです。
 トランプさんになって、、、大丈夫かなあ?
 (世界中が自分の国第一主義になっていきそうで・・・)

 さて、この辺の油田を任されたのが出光商会なのでした。

 映画では石油統制機構(石統)と軍部が組んで2500人規模の巨大組織を作ろうとしたところ、店主が「国岡商店に任せてもらったら250人でやれまっせ!」と話すシーンが劇的に描かれています。

 結構実話みたいでして、映画では出てきませんが利権を取り損ねた現場の軍人関係者の間では「出光なんて銃殺にしてしまえ」という言葉さえささやかれていたようです。
 それでもフィリピン、マレー、ジャワなど各地に社員を派遣し、言葉通りの「企業戦士」となって働き、兵隊でもないのに多大な戦死者を出しました。
  • (2016-12-29 18:22:50)
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