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そうか、納谷って、、、
 夜中にもかかわらず堀口刑事は自分の車で静岡に向かった。いてもたってもいられねかったのだ。
 早朝、富士経済大学の正門前で駐車し磯山教授を待った。

 いつも早くに大学に出勤する磯山はすぐにやって来た。
 正門前で声をかける堀口。
 「先生、納谷って?」
 「まあ、コーヒーでも」

 研究室で教授自らコーヒーを入れてもらった堀口は、開口一番大きな声で話し始める。
 「国立テクノの納谷って研究者が半導体の研究で賞をもらってますわ」
 
 微笑みを浮かべて答える磯山。
 「呂宋助左衛門(るそんすけざえもん)って知ってますか?」
 「え~っと、たしか、堺のごっつお金持った商人」思い出しながら答える堀口。
 「よく知ってますね」
 「知り合いの税理士に大河ドラマ大好きな人がいまして、大河ドラマ税理士って呼ばれてて、一度講演会に招待されたんです」
 笑顔で「黄金の日々ですね」と答える磯山。
 「フィリピンの二束三文のツボを各大名にめっちゃ高く売った詐欺師」と刑事らしく答える堀口。
 「その詐欺師の名前が納谷です」

 磯山は堀口の目に輝きが増すのを見逃さなかった。
 「刑事さんの推理を教えてください」
 うなずいて語り始める堀口。

 「江戸時代に禁止された宝くじが、現在の形になって現れるのが昭和20年」
 「なぜ?」と尋ねる磯山。
 「戦費調達のためで、当たり発表時には敗戦していて負け札なんて呼ばれてしもた」

 吹っ切れたように堀口が呟く。
 「宝くじを作った動機は国家の裏金造りや」
 微笑みを浮かべるだけの磯山に語り掛けるように話し始める。
 「ルーレット、回る数字はあたりの番号を特定できるため」
 「電動風車型抽選器作ったんは国や自衛隊と関係が深い国立グループや」
 「現在の技術があれば、女の子がボウガン発射のボタンを押しても特定の数字に矢を打ち込むのは簡単や」
 「その番号の当たり賞金は裏金や」
 「そのためにかなり治安がいいにもかかわらず、高額当選者は黙っとけと国を挙げて推奨してる」
 「その日から読む本ちゅう冊子まで発行してな」

 微笑みが消えた顔で磯山が呟く・・・
 「刑事さん、晩御飯ご一緒できます?」
 真顔で答える堀口・・・
 「今日は休みとってますから、、、と、言うより捜査さぼってでも」

PS:言っときますけど僕のただの空想ですよ! (だのにまだ続くんかい)
  • (2023-03-28 11:27:08)
まだ続いてるんや、ルーレット。
 3月4日「チョコにへんなもの入れないで」以来、僕が宝くじに抱いている妙な妄想をもとにした映画のストーリーを、はた迷惑にもかかわらづ発表しています。

 ようやく堀口刑事にも大掛かりな陰謀が見えてきました。

 「回る数字に矢を放つって、いつまで時代遅れのやり方やってんねん」
 「それをやるにはなんかメリットあるはずや」
 「始めた動機は戦費調達やしなあ~」

 「昭和20年の負け札からやなルーレットの登場は・・・?」
 「電動風車型抽選器ちゅうんか、、、ややこしな」

 堀口は「メーカーなんぼ探してもあらへんわ!」と毒づいてネットカフェを後にする。警戒心がなくなったというより、面倒くさくなってスマホや自宅のタブレットで検索しまくる。

 まずは伊賀忍者の末裔の名前を調べ始める。
 
 「伊賀忍者を取り仕切った3人(上忍)が服部半蔵、百地三太夫、藤林長門守」
 「服部、百地、藤林、おや清原もか?」
 「望月は甲賀忍者か!」
 「和歌山の鉄砲隊ともかかわってるから雑賀もやな」

 百地製作所、服部電子機器、藤林金属工業・・・
 
 しかしいくら調べてもそれらしい会社はなかった。そもそも忍者の末裔が自分の名前を使った会社で電動風車型抽選器を作っているかどうかも怪しいはずで、日本全国の機械製作所から探し出すなんて不可能だ。

抽選会.jpg 音を上げた堀口は磯山教授にメールする。

 返信は・・・

 「納屋」 たった一言?

 また調べ始める堀口・・・

 「納谷製作所…金属加工か…う~ん違うか、、、あれ?」

 「なんで、国立(くにたち)テクノロジーズが出てくるねん?」
 「あ、納谷ちゅう技術者が文部科学大臣賞とってるわ、半導体重層回路パターンの計測装置?なんやそれ、さっぱりわからん」
 「国立グループ言うたら、原発も作ってるし、日本政府や自衛隊とも関係深いわ」
  • (2023-03-27 15:42:25)
天保の改革いらい発売されとらん!
 とある考えがひらめいた堀口刑事はそそくさと大阪府警に戻る。
 警察や自宅のパソコン、携帯では履歴が残るため、、、ネットカフェを訪れる。

 そこで宝くじの抽選方法の移り変わりを調べた。

 日本最初と言われているのが大阪府箕面市の瀧安寺で行われていた富会(とみえ)です。(寛永元年1624年)

 お正月に参詣した人が、自分の名前を書いた木札を唐びつの中に入れ、7日の日に寺僧がキリで3回突き、3人の当選者を選び出すというものです。
 
富会.jpg 福運のお守りが当たりでした。

 「ドリームジャンボに比べるとショボい賞品だなあ~」と独り言をつぶやきながらパソコンに向かう堀口。
 
抽選会場 (2).jpg 「ショボいのに盛況やん」

 「そうやんな~、いまだにあんな回る数字に矢を射るだけっておかしいよなあ~?」
 「吉本の芸人に障害物競走させるとか???」
 「巨大パチンコ台作るとか?…もっとエンタテイメント性高めんと」
 「抽選会だけで高視聴率の番組が製作できるよな?」

 「そもそも、なんで富会(とみえ)が作られたんやろ?」
 「ほ~う、お寺の改修費を作るためか?」
 「ところがどんどん金銭と結びついていきますって、、、今も昔もやな」
 「やがて富くじとして町で乱発されるようになります、、、今も昔もやな」

 「徳川幕府は、元禄5年(1692年)禁令を出すって、なるほどな~」
 「そんでも自社の修復費調達の手段としてだけ認めたんや、ふ~ん」
 「これが天下御免の富くじ“御免富(ごめんとみ)”ちゅうやつか」

 「御免富も、天保の改革(天保13年・1842年)によって禁止されんや」
 「明治になっても明治元年(1868年)の太政官布告によって禁止かいな」

 「結局、天保の禁令以来103年間も、日本で富くじは発売されへんかったんや」
 「ほな今の形の宝くじに変わったんは・・・」と呟き、堀口はドリンクバーからホットコーヒーを持ってきて、一口グビリと飲むとまたパソコンに向かう。
 「・・・なになに、昭和20年7月、政府は軍事費の調達をはかるため、1枚10円で1等10万円が当たる富くじ(勝札・かちふだ)」を発売しました。ところが抽せん日を迎える前に敗戦が決定(負札・まけふだ)と呼ばれるようになってしまいました・・・なんやそれ」
 「こっからやな、回る数字に矢を放つようになるん」

 堀口の想いは徐々に確信に変わってきた。
 
  • (2023-03-25 16:07:24)
箕面市の瀧安寺(りゅうあんじ)か!
 不安を振り切ったかのように磯山教授は話し出した。

 「殺された倉本記者って、宝くじのことを調べていたんですよね」
 うなづく堀口刑事。
 「日の丸に書かれていたのは銃弾ではなく矢ですよね」
 「ただの矢印ですけど、鉄砲の的だったらただの黒い丸を落書きするはず」

 「世界的に見れば約2000年前のローマ時代にくじ引きは生まれたんです」
 うなずきながら熱心に聞く堀口刑事。
 「宝くじのような形になったんは?」
 「15世紀半ばのオランダでインフラ整備のための資金調達のために宝くじと呼べるような形のものが生まれました」
 「日本では?」
 「江戸時代初期の寛永元年(1624年)頃に摂津国(せっつのくに)の箕面山瀧安寺(みのおさんりゅうあんじ)ですね」

竜安寺.jfif 「ええ~大阪ですか」と驚く堀口。

 「お正月に参詣した善男善女が、自分の名前を書いた木札を唐びつの中に入れ、キリで3回突いて3人の“当せん者”を選び、“お守り”を授けたのがはじまりです。これは一説によると天正3年(1575年)ともいわれています」
 「じゃあ、世界で初めての可能性もあるちゅうわけですね」

 磯山は何度もうなづき「しかも忍者と同じで起源はもっと昔だった」
 「どうして?」
 「伊賀上野で古文書を調べていたら、出てくる、出てくる」

古文書.jpg 「ここだけの話だけど」

 「現代の宝くじの抽選方法も忍者が考えたらしいんだ」

抽選.jpg 「丸い的をくるくる回して数字に矢?」

 微笑みが消えた顔で磯山教授がうなづく。
 「丸い的に一・二・三・四・五・六・七・八・九・空と書かれた絵図が出てくるんだよ」
 堀口刑事が首をかしげる。
 「空?」
 「和算に0はないんだ」
 「和算?」
 「日本では中国の影響を受けて、独自の数学が発達したんです。江戸時代前期の関孝和が体系化したんだ」

 根本的な疑問が思い浮かんだ堀口が尋ねる。
 「教授、なんで学会発表しないんですか?」

 「大人の事情です」 クスリとも微笑まず磯山は答えた。
  • (2023-03-24 13:30:06)
最強の鉄砲軍団って・・・
 堀口刑事は『雑賀』と言う名で思い浮かんだ疑問を、堺駐屯地の食堂長と呼ばれる服部孝造には聞かず、わざわざ再び静岡を訪れ富士経済大学教授の磯山剛史に会いに行った。

 開口一番磯山教授は「あそこの陸飯、おいしかったでしょう」とほほ笑んだ。
 うなづきながら堀口は「ちょっと気になる名前が・・・」と呟く。

 「射撃大会の表彰状でしょ? 十年連続一位の」
 堀口は大きくうなづき、恐る恐る尋ねる。
 「紀州の鉄砲隊? 雑賀孫一?」
 今度は大きくうなづき返す磯山。
 「雑賀衆の末裔です。自分も調べました雑賀正一隊員」

 「雑賀衆のことを教えてもらえませんか?」
 これ幸いににっこり笑う磯山。まさに我が意を得たりである。

 晩御飯を居酒屋で一緒に食べる二人。

 「雑賀衆は上手に鉄砲を使いこなす傭兵軍団です」
 「傭兵? 各大名にやとわれて?」
 うなづく磯山。
 「じゃあ、忍者といっしょやないですか」
 「結構つながりもあったようです」

雑賀孫一.jpg 絵を見せる磯山。「江戸時代の浮世絵ですけど…」

 驚きを隠せない堀口。「あっ! 日の丸」
 「何驚いてるんですか?」
 堀口が「夕霧」の落書きの写真を見せる。

日の丸.jpg 2023-03-06「3億出ましたは本当か?」

 殺された倉本記者が持っていた自衛隊の機関紙「夕霧」の落書きです。
 「ほう」とのぞき込む磯山。

 「これは鉄砲隊の戦いの舞を踊っているところです。日の丸は鉄砲の的です」
 「的?」
 「踊っている孫一の手にもつ扇子の日の丸を打ち抜いたらしいのです」
 「なんですかそれ?」
 「まあ、雇用主の大名から大金をせしめるためのデモンストレーションでしょう」
 「なのに、なんで的外れの落書き? しかも矢やし」

 少し間をおいて、磯山が決心したかのように切り出した。
 「鉄砲ではなく弓矢だということですけど・・・」
  • (2023-03-23 18:37:01)
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